2025.08.25 「コミュニケーションの不一致から生まれる誤解や行き違い」

日々の人間関係や仕事の中で「伝えたいことが伝わらない」と感じた経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。コミュニケーションの不一致から生まれる誤解や行き違いは、職場だけでなく家庭や友人関係でも起こりがちです。その解決のヒントとなるのが、スティーブン・R・コヴィー博士の著書『7つの習慣』の第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」という考え方です。

多くの人は、相手の話を最後まで聞く前に自分の意見を伝えようとします。しかしそれは往々にして、相手が本当に抱えている不安や思いを置き去りにしてしまい、信頼関係を損なう原因となります。理解に徹するとは、ただ耳を傾けるのではなく、相手の立場に立ち、気持ちに寄り添い、何を求めているのかを真剣に汲み取ろうとする姿勢を持つことです。

医療の現場では特にこの姿勢が求められます。患者様は診療や治療に対する不安、生活に関わる心配を抱えながら来院されます。そこで大切なのは、まず「こちらが説明したいこと」を話すのではなく、「患者様が今一番気にしていること」に耳を傾けることです。安心して「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じられると、患者様の心は落ち着き、次に医療者から伝える説明や提案も素直に受け入れやすくなります。

これは医療だけに限らず、あらゆる人間関係に通じます。理解されるための近道は、まず相手を理解すること。人は「自分を大切に扱ってくれている」と感じたときに、相手の言葉にも心を開くものです。今日から私たちができる小さな実践は、「相手の言葉を遮らずに最後まで聞く」「表情や態度で関心を示す」「相手の立場に立って考えてみる」といったことかもしれません。

7つの習慣の第5の習慣は、シンプルながらも人間関係を大きく変える力を持っています。まず理解に徹する、その一歩が信頼と安心を築き、より良い関係づくりの礎となります。

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