2025.08.20 「一日をどのように締めくくりたいのか」
スティーブン・R・コヴィー氏の著書『七つの習慣』の中で紹介されている「第二の習慣・終わりを思い描くことから始める」は、私たちの日常業務に大きな示唆を与えてくれる考え方です。この習慣は、行動を始める前にゴールを明確に持つことで、無駄な努力を減らし、判断や行動に一貫性を生み出すというものです。

医療や看護の現場は、常に多くの業務に追われ、目の前の対応に精一杯になりがちです。そんな中で「今日一日をどんな気持ちで終えたいのか」「患者様にどのような印象を残したいのか」といった最終イメージを朝の時点で持つことは、業務をより前向きに、かつ余裕を持って進めるための大きな助けになります。たとえば「忙しい中でも笑顔を忘れずに対応する」「患者様が安心して帰宅できるような言葉を添える」といった小さな目標を意識するだけでも、その日の立ち居振る舞いや言葉選びは自然と変わってきます。
特に医療機関にとっては、一人ひとりの患者様にとって「今日が大切な診療日」であることを忘れてはなりません。私たちが疲れていても、流れ作業のように業務をこなしてしまっては、患者様に寄り添う姿勢は伝わりません。そこで「終わりを思い描くこと」を実践することにより、自分がなぜこの仕事をしているのか、そして一日をどのように締めくくりたいのかを改めて意識できるのです。
忙しい日こそ「今日は患者様から安心の笑顔をいただいて終わろう」と思い描くことで、無意識に流される時間に意味を与えることができます。ゴールを心に描くことは、患者様への満足度を高めるだけでなく、私たち自身の働きがいにもつながります。医療現場の一日をより充実したものにするために、ぜひ「終わりを思い描くことから始める」を日々の習慣として取り入れていきたいと思います。